複数拠点の事務所をもつ場合,管理性を向上させるため,DHCPサーバーを本社に集約する構成をとることがあります。
そして,WANを経由してIPアドレスをリースしてもらいます。そうすることで,DHCPサーバーの台数を減らすことができ,メンテナンスやサーバーアップグレードにかかるコストを減らすことができます。
インターネット回線が不安定な場合にどうなるのか
支店のインターネット回線がいつも安定しているとは限りません。海外拠点を持つ場合には特にそうでしょう。
では,PC再起動時に,ゲートウェイが利用不能になっている場合,つまりDHCPサーバーとの接続が切れている場合にはどうなるのでしょうか。
DHCPクライアントを再起動すると,どれだけリース期間が残っていようと,新しくIPアドレスをリースしてもらうための要求を飛ばします。これは,Windowsが採用しているDORA方式の基本的な動きです。
しかし,DHCPサーバーが応答しないとなると,クライアントは次にゲートウェイにPingを飛ばします。そうすることで,以前使っていたIPアドレスが同じネットワーク上で使用されていないかどうかを確認します。
もしゲートウェイも応答しない場合には,DHCPクライアントは,DORAプロセスを最初から再試行します。
結果として,DHCPサーバーを見つけることができないため,IPアドレスをリースしてもらうことができず,自己割り当てIPアドレスである169.xxx.xxx.xxxが割り当てられて終了します。
WANが切れている場合には以前のIPアドレスをそのまま使いたい
自己割り当てIPだと,ネットワーク上のリソースを活用することができません。ファイルサーバーにもアクセスできず,プリンターも使えません。これでは仕事になりません。
では,このようなケースでどのような対処策があるのでしょうか。
それが,DontPingGatewayの設定です。
DontPingGatewayの設定は,以下のレジストリに値を追加することで行えます。
新規DWORD(32bit)で,キーの名前をDontPingGateway,値を1にセットします。
複数台の設定を行いたい場合には,以下のPowerShellコマンドでも同じことができます。(サーバー名部分を変更)
@(“Server01”,”Server02”,”Server03”)|%{ Invoke-Command -ComputerName $_ -ScriptBlock {REG ADD HKLM\SYSTEM\CurrentControlSet\Services\Tcpip\Parameters /f /v DontPingGateway /t REG_DWORD /d 1}}
これで再起動すると,DontPingGatewayが有効化されます。
クライアントの台数が多い場合は,グループポリシーで配布しましょう。
この設定により,DHCPクライアントから応答がない場合でも,リース期間が有効であれば,ゲートウェイにPingを飛ばすことなく,これまで使用していたIPアドレスをそのまま使い続けることができます。
以上,DHCPサーバーへの接続が切れた時の対処策として,DontPingGatewayを設定する方法でした。
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