マザーボードの不良などが生じた場合に,RAIDディスクを他のシステムに移動させないといけないことがあるかもしれません。
その場合,新しいサーバー上でも,RAIDで構築したボリュームは正しく認識されるのでしょうか。
RAIDは多くの場合他のシステムに移動可能
RAIDの構成情報はコントローラーに保持されるのではなく,ディスク内に保存されています。それで,他のサーバーにRAIDを移動させたとしても,データをロストすることはありません。
HP Smartアレイコントローラーでは,ドライブの中に格納されているアレイ情報を自動検出し,それぞれのディスクがコミュニケーションできるようになります。
RAIDアレイの移動について
RAIDのサブシステムは,RAID構成ファイルをアレイコントローラーのRAMにも保存しますし,ディスクドライブにも保存します。それで,ドライブが故障した場合でも,アレイコントローラーが故障した場合でも,RAID構成が失われることはありません。
それで,RAIDが構成されているすべてのディスクを他のシステムに移動させたとしても,問題なく動作します。それで,もしサーバーが故障した場合には,RAIDディスクを丸ごと新しいサーバーに突っ込むことが可能という事です。
ディスクの移動について
例えば,HP Smartアレイコントローラーは,ドライブの移動もサポートしています。つまり,1つのドライブベイが故障した場合,同じコントローラー配下にある他のベイに移動させたとしても,コントローラーはRAID構成を認識して処理することが可能です。
RAIDドライブを移動させる際の注意点
サーバー間でRAIDドライブを移動させる場合には,幾つかの注意点があります。
当たり前ですが,ホットプラグで行わないようにしましょう。
また,RAIDドライブにOSが含まれているなら要注意です。他のサーバーに移動する場合には,移動先のサーバーにRAIDが1つも構成されていないことを確認しましょう。
なぜなら,OS起動用のアレイは常にAというラベルが付けられなければならないのですが,もし既に移動先にRAIDが存在している場合,Bというラベルになってしまうからです。
それで,OS用のRAIDとデータボリューム用のRAIDを同時に移動させるような場合でも,そのことを意識して移動させます。つまり,OS用のRAIDを先に認識させる必要があるということです。
また,データボリュームを移動させる場合,移動元と移動先のOS環境を同じにしておくことも望ましいでしょう。データロスするという意味ではありませんが,アプリケーションの正常な動作がより保証されます。
RAIDドライブをBitLockerなどで暗号化している場合
最近ではTPMチップが内蔵されているハードウェアも増えてきました。
それで,もしRAIDドライブをBitLockerなどによって暗号化しているのであれば,それを解除する必要があります。
TMPが有効かされているかどうかを確認するには,iLOの管理画面であれば,下図のように表示されているかどうかを見てみます。
Windows上でTPMが有効になっているかどうかを確認するには,tpm.mscから,Trusted Platform Module (TPM) Managementコンソールを開きます。
そして,Prepare the TPMというボタンが無効になっていれば,現在はTPMが有効ということですので,無効化すべきです。
そして,OS上でもしBitLockerが有効化されているなら,以下のような鍵アイコンになっていますので,暗号化を解除しておく必要があるでしょう。
ドライブを右クリックし,Manage BitLockerから,Turn off BitLockerへと進みます。暗号化の解除には時間がかかるかも知れませんが,データをロストすることはありませんのでご安心ください。
以上,RAIDのディスクを別のシステムに移動させても動くのかというお話でした。
ご不安な点があればコメント欄でご質問ください。
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