RAID5と聞くと、耐障害性を備えた高度なデータ管理方法のようなイメージを持っている方も少なくないかもしれません。
確かにRAID5を組むと、1台のHDDが壊れても、データが失われることがないという性質を持っています。
書き込みは遅いですが、読み込みは早いですし、HDDの容量を無駄なく利用できるという利点があります。
例えば、2TBのHDDを6本組み合わせてRAID5を構成すると、実質、10TBもの容量を利用することができます。
仮に、RAID1で構成したとすると、6TBしか利用できません。
このような、素晴らしいRAID5ですが、実はこの耐障害性という点において、大きな盲点があるのです・・・。
RAID5なら1台のHDDが故障しても大丈夫?
はい。確かに、1台のHDDが故障しても、他のHDDのパリティからデータを再作成できるため、耐障害性があると認知されています。
しかし、そこに盲点が存在します。
例えば、12TBでRAID5を組んでいる場合、HDDの1台が故障したとき、データを再作成するためには、どれだけの時間がかかるでしょうか?
ハードウェアRAIDかソフトウェアRAIDかによっても、スピードは変わりますし、様々な要因がありますが、最悪、一週間だってかかる場合があり得ます。
もし、失われたデータの再作成中に、もう一台のHDDが故障したらどうなるでしょうか?
そのRAIDシステムは破損し、データはほぼ取り戻せないでしょう。
でも、そのようなことは偶然にしか起こりえないでしょうか?
RAID5の修復を例えると、こうなります
ある工場で、6人の社員が働いています。
みな勤務時間は同じです。
ある時期に、仕事が増えて、毎日、深夜まで残業しなければならなくなりました。
そんな時、1人の社員が過労で体調を崩し、倒れてしまいました。
1人が減った分、何とかして残りの5人で補わなければなりません。
労働時間を増やし、睡眠もさらに減らし、24時間ぶっ通しで7日間働かなければならなくなりました。
この状況で、さらなる被害者が出ないといえるでしょうか?
いわば、RAID5で1台のHDDが壊れるというのは、こういう状況なのです。
RAID5に頼り切る危険性はそれだけではない
RAID5では、ハードウェアRAIDを組んでいることが多いかも知れませんが、RAIDコントローラーが冗長化されているというケースはまれでしょう。
そして、RAIDコントローラーが壊れるころには、メーカーのサポートも切れていたりして、復旧が困難を極めてしまうことが考えられます。
ではRAID5の危険性を回避するためにどうしたらよい?
RAID5で1台HDDが故障した時のリスクを減らせる、RAID6を選択することもできるでしょう。
また、個人用途のバックアップ程度の話であれば、RAID1のような単純ミラーリングにしておくほうが、何かと復旧の難易度も低いですし、Windows8では標準の機能でRAID1的な記憶域プールを作成することも可能です。
いずれにしても、RAID5というだけで安心感を持つのではなく、リスクとメリットをよく理解して利用するに越したことはありません。
もし、RAID5神話にまだ傾倒しておられる方がおられましたら、何かの参考になればと思います。
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